沖縄での楽しみ方のひとつに、泡盛を飲むことがある。地元の人にも、観光で訪れる人にも愛される地酒の泡盛。もちろん、酒器も沖縄ならではのものが作られてきた。そのひとつが「カラカラ」。
ぽってりとしたまあるい形に、ちょこんと突き出た注ぎ口。盃とセットで作られることが多い。線彫りしたものや釉薬を差したもの、イッチン(スポイトを使って化粧土で模様を描く技法で、模様がぷっくりと浮かび上がるのが特徴)を施したものまでいろいろとあるが、どれも安定感があり、注ぎやすく優れたデザイン。作り手にとってもこのユニークな形はなかなか手強いようで、自分の目指すカラカラをそばに置き、模索しながら作陶する職人もいる。ほかにカラカラと言えば、中に陶玉が入っていることも特徴のひとつ。「カラカラカラ・・・」と心地良いかわいらしい音がして、カラカラの名前の由来であるとも言われている。そんな陶玉にはいくつかの役割がある。まず一つは空っぽになったことを表すサイン。重量感のあるカラカラは、中に入っている泡盛が少なくなってもその重さの変化に気がつきにくいが、空っぽになったカラカラの中で陶玉が転がることでそれを知らせてくれるのだ。ほかに陶玉が入ることで泡盛がまろやかになる、という声もある。そんな話をしていると今宵もまた泡盛がよりおいしく感じるのだ。