厨子甕

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厨子甕(ずしがめ)と呼ばれる沖縄の骨壺は、県外のものとはまったく違う。大人の男の人でも持ち上げるのに苦労するほど大きくて重たくて、屋根にシャチホコがのっていたり壁に仏様が描かれていたり、まるでお城のような佇まいなのだ。

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かつて沖縄は人が亡くなると風葬し、洗骨してからお骨を厨子甕に収めていた。火葬に比べてお骨が多く残るので、厨子甕も大きくなくてはならなかったという。今は火葬用に合わせてちいさなものもあるが、豪華な装飾の理由を茂生窯の上江洲茂生さんが話してくれた。「厨子甕はあの世の終の住処という考えがあって、立派で豪華なお城のような家に住みたいという“ 家主” の想いが込められていると、昔の人はよく言っていたね」。厨子甕を作るには型が必要で、「型ができるまでがとても大変だった」と上江洲さん。どんな厨子甕にするか考え、そのために必要な型を考えては作るという作業を何度も繰り返し、いくつもの型を作ったという。また、祖父の代から厨子甕の作り方を受け継いできたというのは、陶房高江洲の高江洲康次さん。厨子甕の型作りをはじめ、装飾や絵柄も祖父の代からのものを今も守り続けている。厨子甕の作り方は違っても、二人のものづくりへの真摯な姿勢に、こうして丁寧に作られた家ならきっとあの世の暮らしは安らかで平穏だと思えるのだ。

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